応援コラム

第294話 頑張る社員にこそ教えてほしい「仕事の断捨離」

 

 

毎日やることがいっぱい…でもいまひとつ達成感がないよな…

忙しくしているワリには成果が上がっているように感じない…

自分がやらなきゃいけないけどこれ以上頑張るのはもう無理…

 

あなたの会社の社員はこんな風につぶやいていませんか?

現代は、あふれる情報とスピード社会。以前のようにコツコツ頑張っていれば結果が出る時代ではなくなり、私たちは仕事のやり方や考え方そのものを見直す必要に迫られています。

 

 

■断捨離のすすめ

 

企業が勝ち残っていくためには、今ある資源(社員・設備・お金・情報)を効率よく動かしていかなければなりません。そのための手法やツールは世の中に山ほどありますが、社長が一番に考えなければならないのは「社員の荷物を軽くしてあげること」です。ただでさえ抱えきれないほどの荷物を抱えて山を登っている社員に、これ以上新たな荷物を持たせる前に、もっと身軽になってもらうことを考えることが先決なのです。

 

そこで今回のコラムは、頑張る社員を持つ社長のための「断捨離のすすめ」について書いてみました。荷物を増やすのは簡単ですが、捨てる時には重要な判断が必要になります。その判断を促すための仕分けについて書いていますのでぜひ最後までお読みください。

 

私は日頃、営業が会社の仕組みとしてうまく回せるためのご指導をさせて頂いておりますが、多くの会社で抱えている課題が仕事の効率化。成果が出ることに資源を集中させるためには余分な手間を省き、思考を整理する必要があります。そのためのポイントを2つお伝えいたします。

 

 

■①大胆に「やめてみる」

 

日々の業務や新たな取り組みなど、毎日やることが増えていく中で、あなたの会社でもタスク管理やToDo管理など仕事の漏れをなくすための努力がなされていると思いますが、一つ一つの業務についてそもそもの目的を見直したことがあるでしょうか?

 

実は、私たちが毎日“習慣だから”…とやっていることの中には、意外とやる必要がないことが多いものです。例えば会議資料や報告書など社内資料の作成。ちょっとしたアイディア出しのミーティングなどであれば、資料にまで落とし込む必要がなく、みんなでWebサイトを見ながら意見交換すれば良いレベルの時にも、きちんと丁寧にパワーポイントを作成しているようなケースがあります。一度、誰かが立派なものを作成してしまうとそれが基準になってしまって、それよりも見栄えが悪いものをつくってしまうとまるで手抜きをしているように思われてしまうため、次の人も同等かそれ以上の資料をつくってくる…といったことが普通に行われていたりします。報告書も同様…立派な報告書イコール内容も良いものであると勘違いしてしまいがちですが、本来の目的を外れて余分な時間を割いてしまっているかもしれません。

 

まずは社内で「やらないことリスト」を社員から出してもらって、優先順位の低いものから大胆にやめることを決めるところからスタートします。やめる判断がつかない時には、ぜひ、「なぜこれをする必要があるのか?そもそも何の目的だったのか?」ということを話し合っていくと、他にもっと簡単なやり方があったり、やめてもよい理由が見つかったりします。

 

ちなみに…。

私が今の会社を立ち上げた時は複数の仕事を掛け持ちしていたため、24時間365日いつもパンパンなスケジュールとの戦いでした。最初は張り切っていましたが、私も生身の人間。気力と体力にも限りがありますし、大切な家族との時間を犠牲にしていては何のために仕事をしているのかわからなくなってしまいます。そこで考えたのが大胆な仕事の断捨離でした。当時(コロナよりもずっと前から)、週に1~2日、会社に出勤しない日を決めて在宅で仕事をする!と決めて実行してみました。会社に行くと、どうしても全員で朝礼、みんなとお昼休憩、電話や来客など、とにかく時間を取られることが多く、その分自分の時間が削られてしまうのです。その頃は「在宅で仕事をする」という発想は全く無い会社でしたが、思い切って提案し、採用してもらうことで大幅な時間の確保に成功しました。その後、コロナ騒動が始まった時には、スムーズに在宅勤務に切り替えることができ、とても助かりました。とにかく自分が本当に取り組むべき新たな仕事に集中できる時間を捻出するためには、やることを決める前に「やめることを決める」こと、そしてとにかくやってみることが重要です。

 

 

■②思い切って任せる

 

最近は、社内でやらなくても良い業務を外注に出す会社も増えていると思いますが、個人の仕事もそれと同じです。その人がやらなくても良い仕事(他の人にもできる仕事)はどんどん任せて手放していきましょう。

 

ただ、仕事を委任するのが苦手な人や、その仕組みがきちんとできていない会社は、いつまでも特定の人が大事な仕事を一手に引き受けていることが多いのが現実です。誰かに任せようと思っても、つい心配になって口を出し過ぎたりもう一度最初からチェックし直したりして、かえって手間が増えたりしている人…いませんか?

 

そういう場合、業務のプロセスを分けて、その中身がシンプルなものから任せるようにすることをおすすめいたします。例えば、書類のチェックや配達・納品、既存顧客の定期訪問、経理などはプロセスを可視化しやすい業務です。反対に、特急(特別)対応とかトラブル対応など一定の経験値が必要なものは一緒にやりながら見て覚えてもらうしかない…という業務もありますので、それは少し時間を掛けて任せていく必要があります。いずれにしても、社内の役割分担や世代交代はいつかやらなければならないので、ぜひ計画的にすすめていきましょう。

 

特に、仕事がよくできる人ほど自分でやりたがってしまうものなので(他人に任せてもしも失敗したら手間が増える…教えるのに時間がかかるから自分でやった方が早い…大切なお客様の仕事だから任しておけない…など)注意が必要です。こういう人は、仕事の棚卸しと同時に、意識改革も促していく必要があります。今の仕事に対してどのような意識(レベル感・責任感など)を感じているのか確認し、その上で、ぜひ一度思い切ってやってみてもってはいかがでしょう。物事は意外と何とかなるもので、「自分じゃなきゃダメ」「自分がいないと仕事が回らない」と思い込んでいるのは自分だけだったりするものです。

 

いかがでしょうか。

仕事の断捨離がすすまない人の中には、頭(心)の整理ができていない人が多くいるものです。社員に任せきりにしておくと、大切な時間がむだに過ぎていってしまうかもしれません。ぜひ一度立ちどまって一緒に考えませんか?

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